musician's talk ウクレレを愛するミュージシャンへのインタビュー
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Vol.1 ウクレレへの飽くなき挑戦

sekiguchi

 ワイキキの海に太陽が落ちていくサンセット・タイム、ビーチの目の前にあるホテルのプールサイド・バー。今日ここでライブ演奏をするロコガール天才ウクレレ・プレイヤー、タイマネ・ガードナーとオープンエアのバーのテーブルにつく。飲み物を勧めるとソーダを頼む彼女に、冗談半分で「ビールじゃなくていいの?」と聞いたら「あと一日で21歳! イエー!!」というお返事。
 あぁ、あのウクレレ少女がもうお酒を飲める歳になったんだ……(※アメリカでは飲酒は21歳から)。というわけで、20歳最後の日を迎えたタイマネへのインタビューはノン・アルコールで行われた。


多くの先生から学び築いた独自のスタイル

――ウクレレをはじめたきっかけは何だったのですか?
「5歳のときに父がウクレレを持って帰ってきたんです。机の上にあるそのウクレレに興味を持った私は、それをこっそり手にとって、鏡の前でポーズを決めたりして、ロックスター気取りでした。あんまり激しくかき鳴らしたから弦が切れてしまって、父にそれを見せたら『ウクレレを弾けるようになりたいかい?』と いって、習わせてくれることになったんです。ロイ・サクマ・ウクレレ・スクールに通い始め、同時にマイクというミュージシャンから個人レッスンも受け始めました。まだ子供だったから覚えるのが速くて、どんどん上手くなっていきました。6歳の時に先生のマイクのステージに参加させてもらって、人前で演奏し始めたんです」

――ほかにはどんな人からウクレレを学びましたか?
「11歳の時にジェイク・シマブクロから習い始めました。当時は彼もウクレレ・スクールを持っていたんですけど、しばらくして彼のミュージシャン活動のほうが忙しくなり、スクールは閉鎖してしまいましたが、彼から受けた影響はとても大きいです。その後、ジェイクの弟ブルースに学び、ほかにもオータサンやブラザー・ノーランドからも習いました。それぞれの先生から違うスタイルを学ぶことができました」

――普段ウクレレの練習はどのくらいするんですか?
「今は学校で音楽理論のクラスをとっています。週に一回のその授業と、毎日のようにあるギグが練習のようなものです。それ以外に練習する時間は、今はないですね。以前は限度なくウクレレを練習していました。たとえばジェイクのCDを聴きながら、ひたすら音を探しつつ一人で耳コピーするというようなスタイルで。時には公園に出かけて、iPodで好きな曲を聞きながら、それに合わせて弾いてみたりとか」

――他の楽器と比べてウクレレのいいところは?
「ウクレレはまだまだアンダーグラウンドな楽器だと思います。この楽器が秘めるすばらしさ、可能性にまだ多くの人が気づいていないと思います。小さくて手軽だからどこへでも持っていけるし、子供も弾けるし、とっつきやすく、何より弾くのが楽しいですよ」

――でもあなたのように上手くなってしまうと、物足りなくなったり、飽きてしまったりしませんか?
「それはまったくないです。最近はペダルも使って、リバーブなどの効果を加えたり、ギターやピアノのようなサウンドを出すこともできるようになったので、さらに幅が広がりました。演奏する音楽も、ジェイクのようなカラーのものから、クラシックや映画音楽まで、さらに高度な音楽性のものに挑戦したりして飽きることはありません。ベートーベン、ショパン、バッハなどの曲をやったり、フラメンコ音楽をやったり、そういうものにピンク・フロイドを混ぜてみたり!」

タイマネのメイン・ウクレレであるカマカの8弦テナー・カスタム。弦を3本取り去り、5本弦で使用。4コースにローGを2本、残りの3コースには普通のクラシック・ギター弦を張っている。フロントはスプルース、ボディは美しいコアの木でできている。   こちらはブラック・ペイントのカマカ8弦テナー・カスタム。バインディングにはピンクのラインが施されている。弦の張り方はメイン・ウクレレと同じで、低音を響かせるためローGを2本使用。塗装の落ち具合や多くの傷が彼女の激しいピッキングを物語っている。

こだわりは「低音の鳴り」

――あなたのウクレレについて教えてください。
「これは一昨年のクリスマスに手に入れたものです。カスタム・メイドの8弦テナーなんですが、私は弦を3本取って5弦にしています。トップにローGを2本、あとの3本は普通の弦を張っています。クラシック・ギターの弦を使っているので、とてもあたたかい音が鳴るんです。フロントはスプルース、ボディはコアの木でできているんですけど、コアが本当に美しくて、私の大のお気に入りです」

――ローGをダブルにするというのは珍しいですね。他に見たことがありませんが、あなたのオリジナルですか?
「そうだと思います。私も他にこうしている人を見たことがないですから(笑)。ベース音が響くのが私の音の好みなんです。もっと低音を効かせたいと思っていて、2年前にダブル・ローGのアイデアを思いついたんです」

――ではあなたが最初に手にしたのはどんなウクレレでしたか?
「サニーDのソプラノの小さいウクレレでした。その後、初めてのカマカ、コンサート・サイズのウクレレを買って、そのウクレレでたくさんのコンテストに出て演奏しました。次に手に入れたのが、カマカのテナー。続いてブラック・ペイントのカマカ・テナー、そして今使っているこのカマカという順番です。これからもう1本、新しいウクレレがほしいと考えているところです。まだどんなウクレレを注文しようか検討中ですが、カマカにオーダーすることになるでしょうね。今オーダーしても仕上がりは2年後になりますけど」



ウクレレピクニック2009イン・ハワイにて、カマカ・ファミリーと。左がタイマネのウクレレをカスタム製作しているケイシー・カマカ。
――たくさんカマカをお持ちですけど、カマカウクレレの好きなところは?
「何よりもクオリティー。常に質の良いものを提供しているし、カマカの人たちはとても家族的で、お互い気心も知れているので安心できます。低音がよく鳴るあたたかいカマカの音が大好きです」


――ステージでの演奏以外でウクレレを手にするのはどんな時?
「たとえばラナイに出てリラックスしているときに爪弾いたり、ラジオを聴きながら合わせて弾いてみたり、弾いてみたいと思った曲のコード進行をインターネットで探してそれを見ながら練習したり、フリー・タイムにもいつもウクレレを手にしていますね」






















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